営業電話×時間軸
「間の悪い電話ってあるよね」
サラリーマン時代、配下メンバーのレスポンスの悪さにクレームを頂いた社長様からのコメントである。
「込み入った商談の真っただ中に、なんで今?、というタイミングで必ず電話してくるやつ」
「〇〇さん(メンバーの名前)も、正にそういう輩だよ」
・・・
「もはや、そういう巡り合わせのもとでしか出会えなかったんだろうな、ぐらいに思うよ」(苦笑)
とも。
申し訳ありません、教育が至らず…
なのである。
そう、
「そういう巡り合わせ」ではなく、
ましてや、
「そういう星の下で生まれてきた」わけでもないのである。
〇〇さんは。
答えは簡単。
時間の使い方の問題なのである。
〇〇さんは、自分の営業時間の中で、電話アプローチを続けていたのです。
しかも、自分のペースで。
来る日も来る日も、何度も何度も。
つまり、
巡り合わせではなく、スキル不足。
例えばですが、
ある朝9時に始業し、その日予定する訪問先の事前準備を行う。
9時半から10時くらいに外出を開始し、午前中の商談を行う。
商談を終え、11時か11時半くらいに、
「そうだ、××社長に連絡入れなきゃ!」
という具合で、当該社長様の携帯に電話を入れる。
『申し訳ない、いま接客中なので、改めてくれる?』
電話を取ってくれた時、たまたま忙しかったのかな。
社長様との会話は実現できなかった。
営業の〇〇さん、13時からは次のアポイントも控えているため、11時半過ぎに早めのランチを取ることにした。
小一時間ほどで食事を終え、時計を見ると13時アポにはまだ20分ほどある。
さっき接客中だった××社長様、きっとご接客を終えたことだろう。
ふと電話をしようかとも思ったが、常識的にはお昼休みの時間帯。
さすがにこの時間帯でのお電話は迷惑かも知れないと、思い止まる。
13時からの商談を終えると、14時半、16時、17時半と立て続けにアポイントを入れていたため、隙間時間での電話アプローチは実現できず。
やっと18時半過ぎにすべてのアポイントが終了したため、件の××社長様に電話をしてみると、
『いま、取引先との食事会に向かっている道中だよ。もう、用があるときはこっちから電話するから、電話してこないでよぉ』
と、少々お怒りモードのつれない返答。
『もう電話してくれるな』とは言われたものの、上司や先輩たちからは、
「断られてからこそが、営業の始まりだ」
「一度や二度、拒否されたぐらいで諦めたらダメだぞ」
との指導を日常からされている。
よーし!諦めてたまるか!
という具合で、翌日からまた、あきらめずに××社長に電話を繰り返す。
そんな日々を重ねた結果が、
『ちょっと、〇〇さんの上司につないでくれる?』
と遂にある日、会社の上司宛で××社長からクレームの電話が入ってくる。
ちょっと例えが長かったかもしれないですが、この場合で言えば、
なぜ9時過ぎてすぐに電話をしてみなかったのか。
13時前のお昼休みに慮るのは素晴らしいスタンスだが、
「お昼休みにすいませんが、いまお話してもよろしいでしょうか?」の枕詞と共に話してみたらどうだったのだろう。
「お役に立てそうなお話が出来たので、できるだけ近い日程でどうしてもお会いしたかったので」などと、例えば愛嬌交えて伝えてみたとしても、
果たして××社長様の対応は同じだっただろうか?
場合によっては、
「近くまできたので顔を出してしまいましたぁ」と飛び込んでみる。
(当然この場合、『近くまで来た』のは××社長の会社に飛び込むことが目的である)
思いを込めたお手紙やメールを送ってみる。
時間をずらしてみる。
こちらの配慮を言葉にして、躊躇なく伝える。
場合によっては、行ってしまう。
これらの「行動改善」ができたならば、恐らく結果は違っていたはずです。
来る日も来る日も、
自分の側の都合を(自覚無きまま)優先し、
同じパターンでのアプローチを繰り返してしまう。
本人としては「一生懸命やっている」つもり。
思えば、みんな小学生いや、幼少期より大人たちから教えられてきたものです。
「相手の立場に立って、行動しなさい」
意外に実践するのは難しいのかも知れません。
が、ちょっとずつでも、「やり方」や「対応幅」といったスキルの引き出しを増やすことができるならば、結果は異なってくることだと思いますが。