【会社選び】だから、担当者「選び」が大事
先日、某社の完成見学会に立ち寄らせていただいた。
プラン段階から知っていた物件。
プラン図面を見たときは「流石!」と感銘し、完成がわくわくだった。
見学会当日に内覧してみると、「それなりに」良い空間だ、な、と…
なんだろう。
内覧した瞬間は、理屈(左脳)ではなく感覚(右脳)で感じ取るもの。
(プラン段階で)期待していたものと、現実のそれとは質感が異なる。
悪いわけではない。
が、「流石」の期待値から「それなりの」現実を目の当たりにすると、やはり少しばかりはトーンダウンする。
なにがそう感じさせるのか、少しずつ目の前のものを「分解」して注視していく。
棚、ドア、床材などの建具や建材。
壁紙の素材と色合い。
空間全体の配色。
いずれも創造の範囲を超えてこない現実に気付いていく。
あ、照明は良かった。
いままで見たことのないもので、目と心を惹きつける。
なんだけど、空間全体としてはそれを相殺するように、「それなりの」感を拭えない。
きっと予算感(建築費用)だったんだろうな、と推測し理解を進める。
だとしても、なぜそう(それなりに)なってしまったのだろう?
と再び疑問(課題感)が頭を擡げてくる。
プランナーは誰だったのか、の観点に気付く。
そして、プランナーと施主との打合せはどう進んでいったのか、のプロセスが気になり始める。
決して不健全なプロセスではなかったはずである。
「床材ですが、この色合いから選ぶとどれがいいですか?」
「予算感を考えると棚はこの素材で組んでいこうと思うのですが、いかがでしょう」
etc.
むしろ一つ一つの打合せは、材質やビジュアルなどが施主の目の前で選択しやすいように用意されるなどし、丁寧に進んでいったはずである。
が、ここに落とし穴が存在する。
施主はわからない。
よほどのこだわりや経験を備えていない限り、それら(建具や建材)が組み合わさった時、どんな空間が出来上がるのか、が。
打合せを進める側のプランナー(A氏)の提案レベルに、限界があったのではないかとの結論に達する。
過去にも似た経験をしていたことを思い出す。
プランはいいのだけど、出来上がった空間は「それなりだなぁ」と感じてしまった、A氏プランニングの完成見学会が存在したことが。
そしてまたしかしながら、同じ会社でありながら別のプランナー(B氏)が担当してきたモデルハウスや完成見学会も幾つか目にしてきている。
それらの物件からは、先述の「トーンダウン感」は感じてこなかったのだ。
そして、その両者のプロフィールや人柄などの違いについても、わたしなりに接してきた上でだが、知っている。
きっとB氏がプランナーであったなら、
「こうした(この素材を選択した)方が、空間のバランス感や見栄えがグッと変わってきますよ」
という打合せプロセスが随所随所に展開されたはずである。
「(この中から)どれがいいですか」ではなく、「これがいいですよ」
「(全体)予算を考えると」ではなく、「ここには(もう少しだけ)お金をかけませんか」
原価率と原価。
部屋と空間。
建築と作品。
これってね、(今ある)立場の違いじゃないと思うんだ。
キャリアの中で、一つ一つの場面でどれだけ「勝負」してきたかの経験や器のようなもの。
それが今とこの先に現れる場面の刹那刹那で、一瞬の判断や提案が異なってくるはずなんだ。
だから、人が大事。
どこの建築会社に依頼するかだけではなく、誰に任せたいか。
会社選びはヒト選び(探し)なのである。