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一級建築士と大工の二刀流だからこそ出来る こだわりの注文住宅
S・建築製作所代表 柴嵜様

S・建築製作所株式会社 柴嵜 雄次様

札幌市近郊

設計事務所に就職
そして大工へ転身

布広 まずは柴嵜さんの経歴を教えていただけますでしょうか?おもしろいご経歴をお持ちだとお聞きしていますが。

柴嵜様(以下・柴嵜) はい。私は大学の建築学科で、設計のゼミに所属していました。ちょっと自慢になってしまうかもしれませんが、全道の大学が参加する設計大会で私が作った卒業制作が銅賞を受賞した、というようなこともありました。

布広 卒業後はもちろん、設計事務所へ?

柴嵜 最初は、公共施設物件を多く扱う大手設計事務所へ入社しました。理由は、「大手だから。」(笑) アトリエ系(デザイン系)の設計の道に進まなかった理由はもちろんあります。大学時代にアトリエ系の設計事務所の所長が設計の授業の講師として教えに来ていました。大変ありがたいことに所長は私のことを気に入ってくださり、うちに手伝いに来いと誘われて、その設計事務所にアルバイトとして通うようになったんです。工業物件、ビル、店舗など幅広く設計を行っている設計事務所でしたが、メインの柱は住宅の設計でした。しかし、夜中までやるのは当たり前、徹夜だって当たり前、と労働環境がとても厳しくて・・・。そんな環境を学生時代に味わってしまったものですから、「こんな生活は嫌だなぁ。大手ならこんなことはないだろう」と思い、大手へ就職することを決めました。

布広 学生アルバイトでもなかなか大変な労働環境だったんですね。

柴嵜 そうなんです。ところがですよ。大手での勤務では、今度は物足りなさを感じてしまうんですよね(笑) これは違うな、と。若さゆえの行動で就職し、たったの3ヶ月でその会社を辞めてしまいました。その後、大学当時アルバイトに行っていた設計事務所の所長に相談してみると、「うちに来ればいいしょ」と、あたたかいお言葉を頂戴。その時は嬉しかったですね。どこか別の所を紹介されるのではなく、私を受け入れてくれたことが大変嬉しかったです。もちろん一度経験していますのでわかってはいましたが、やはり入ってみるとそれはそれは大変な毎日でしたよ。ただ一つ違ったのは、大学時代のアルバイトの時と違って、その労働環境が苦にならなかったということ。その設計事務所は、上から降りてきたものをただこなすだけ、という仕事ではなく、新人の私にもしっかり責任のある仕事を任せてくれました。もちろん期日を守らなければならない仕事ですので、まだまだ仕事の出来ないうちは居残りも多くなりますが、所長はじめ、周りの人が手を貸してくれますので、大変良い職場だったと思います。

布広 となると、大学を卒業したばかりで約半年後には、ある程度責任のある仕事を任せてもらえるようになったということでしょうか?

柴嵜 そうですね。良いチャンスを与えてもらえたと思います。しかし、それは私にとっては、ですけどね。右も左も分からないような新人に任せられたお客様にとっては、それはいいことなのか?と思われる部分もあるかもしれませんが・・。しかしその点も大丈夫でしたよ。最終的には所長が厳しく見てくださっていましたので。その設計事務所は、アルバイトをさせてほしい、就職したい、といった人が絶えず訪れるようなとても人気のある設計事務所でした。しかし先程もお話しましたように、仕事には厳しい設計事務所でしたので、いつの間にかフェードアウトしていってしまう人も少なくはありませんでした。私も最初の1年は見習いとしてやっていましたが、なんとか認めてもらい、その後もそこで働くことが出来ました。

布広 そのような環境で働いていく中で、いつの間にか責任感やプロ意識がついてきた、といった感じでしょうか?柴嵜さんはそちらで何年ほど働かれたのですか?

柴嵜 7年ほど働きました。

布広 ということは20代はほとんどそちらで働かれていたということになりますね。主に戸建て住宅をご担当されていたのですか?

柴嵜 木造住宅、RC住宅、商業施設、公共施設など、いろいろやらせていただきました。

布広 概ね、今のキャリアの礎はそちらで築かれたのですね。

柴嵜 そうですね。特に住宅のプレゼンの仕方などは大変勉強させていただきました。

布広 全部で何棟ほど設計されたのですか?

柴嵜 合計で15棟から20棟弱ほど。毎年3棟ほどの設計に携わらせていただきました。

布広 普通そんなにお仕事があるものなのですか?

柴嵜 あの頃は本当にたくさん仕事がある時代でしたからね・・。

布広 あの時代・・・そういえば柴嵜さんは、私と同年生まれなんですよね。となると、・・そうですね。確かにあの時代は、バブル崩壊後とはいえ日本にはまだ建設の勢いがありましたね。20代は設計の経験を積まれ、そのあと、なんと、大工さんになられたと?

柴嵜 はい。親方になりましたよ。

布広 えぇ!?親方ですか?

柴嵜 設計していた時にですね、図面通りに工事が進まないことが多くあり、それはどうしてなのだろうと、ずっと疑問に思っていました。物理的に不可能な設計を私がしているのか、それとも工事をする人が私の設計を無視しているのか・・もともと模型づくり、というかものづくりが好きだったということもありますしたので、20代ぎりぎりのタイミングで一旦設計以外の世界を見てみたいという気持ちもありまして。26、27歳位の時に、一度設計事務所の所長に相談してみたことがあったのです。「所長、職人になりたいんです」と。笑

布広 設計事務所で働く所員が、いきなり「職人になりたい」と言うなんて、所長さんはさぞ驚かれたことでしょうね?

柴嵜 そうですよね(笑) その時はもちろん、所長は首を縦に振りませんでした。しかしながら数年後、自分の中で「やはり」と思った時にもう一度所長に相談してみると、流石にその時は所長も私の覚悟をわかってくださり、「行きたい所のあてはあるのか?」と耳を傾けてくださいました。あてなどありませんでしたので、そう伝えると「それなら知ってるところに聞いてみようか?」とのことで、私の次の勤務先まで考えてくださいました。所長には何から何までお世話になって頭が上がりませんでしたよ。

布広 図面を書いていた時に抱いていた疑問、「なぜ図面通りに仕上がらないのか?」ということは、大工になって解決できましたか?

柴嵜 設計の中で描かれている段取りをしっかり考えてやれば、ほとんどのことは実現できるという事がわかりました。あと、図面を書く人によっても様々であるということも。構造のこと、梁の太さまでしっかり記載してある図面もあれば、家の形や見た目は良いけれどよくよく見るとあれ?という部分が浮き上がってくるような図面など・・。設計事務所で培った経験と、大工として施工の現場で得られた気付き。ここからの学びは大きかったですね。

布広 設計を学び、今度は作り手になったことで柴嵜社長の携わる現場の精度は素晴らしいものになったことでしょうね。設計だけをやっていたら知らなかったこともたくさんあったのでしょうか?

柴嵜 私は多々ありました。設計だけとか大工だけしかやっていなかったら、今の考え方にはなっていなかったと思います。設計で究極(のフォルム≒形)を求めるあまり、不具合が生じるということもあり得ます・・。お客様は一生をかけて家を建てているわけですから、例えば1ヶ月で壊れてしまっては困りますよね。実際の強度のこと等、大工になって現場に出たからこそわかった事実が山程あります。現場に出て自分の目で見て経験した裏付けがあるからこそ、自信をもっていろいろなことがお伝えできるので、設計も大工も経験出来たことは、私にとってもお客様にとっても良かった事だと思っていますよ。

布広 確かにそうですよね。私も数多くの経営者にお会いしてきましたが、「人間、結局経験したことでしか語れないから」とお話してくださった方がいて、その言葉は今でも私の心に残っています。経験したこと実感したこと。見た、触った、過ごしたことが実際にあるかないかでは、相手の方に伝わる迫力、説得力に雲泥の差がありますよね。

柴嵜 もう少し口が上手ければいろいろと上手くやれるのかもしれないのですが(笑)、私には経験していないことや、思ってもいないことをお客様に伝えるといったことはできないですね。その分、建築に関しては様々な経験をしてきましたから、自信を持って知識や経験をお伝えすることができます。

布広 今になってみれば大学、大手、設計事務所、そして大工の経験・・全てのことが必然だったのですね。

柴嵜 そうですね。すべてが繋がっていた、何一つ無駄なことなんてありませんでしたね。設計事務所を辞め、工務店に就職し、最初は大工見習いとして18歳の兄(あん)ちゃんと一緒のスタートでした。28歳の新人です(笑) 普通の工務店は基礎から上の部分から家づくりをすることが多いのですが、最初就職した工務店は基礎から自社でやる工務店でした。ですので、土台から仕上げから全部見ることができ、大変勉強になりました。

一つとして似た家がないS・建築製作所

布広 そちらはどの位お勤めになられたのですか?

柴嵜 2年くらいですね。上の方針が私には合わなかったので、その後他の所に移りました。見習いのままではありましたがね。(笑) 次のところでは35歳くらいまで4~5年勉強させていただきました。見て盗んで学んで、を繰り返し、35歳で独立に至りました。

布広 そこからS・建築さんがスタートするのですね。

柴嵜 そうですね、自営期間(個人事業主)を経て株式会社にしてからは11年になります。このまま大工の立場で一生やっていくのかな、と思っていたのですが、34歳で子どもが出来た際、「子どもに箔をつけてやりたいし、建築士をとろうかなぁ。どうせとるなら面倒くさいから、建築士と建築施工管理技士を一緒に、しかもいきなり一級をとっちゃおうかな」と思ったんですよね。

布広 えぇ!発想が面白いですね!笑 一級ですよ。それも2つ同時に?

柴嵜 えぇ、そうなんです。もちろん実際に勉強してみたら「こりゃ大変だ!」となりましたけどね。まずいな。大工やりながらなんて無理だ、やってられない。ちょっと大工休みます~!といって大工は一旦休みました(笑)

布広 学生時代や設計事務所に勤めていらっしゃった時に2級は取らなかったんですか?

柴嵜 学生時代も設計事務所に勤めていたときも、資格に一切興味がなかったので取得していなかったんですよ。

布広 なるほど、実務経験はものすごくあるのに・・・笑

柴嵜 えぇ。妻も働いていたので、子どもを寝かせてそのあと勉強です。30歳半ばだと、物事を頭にいれることよりも出ていく方のが早くてもう本当に大変で(笑)。めちゃくちゃ頑張りましたね。忘れる前に入れて入れて、過去問も何十回と繰り返して・・そうしたらなんと、両方共1発で合格!

布広 ええぇ!!!すごい!一級を両方共一発合格!?相当詰めて勉強されたんですね!

柴嵜 自分よりも周りの方がこれはすごい!となりましたね。その時通っていた、資格取得の為の専門学校の担当の方もびっくりされて、その専門学校で2級の設計の講師をやってくれないかとお願いされました。

布広 講師の依頼が来るほど、周りも驚きの出来事だったのですね。

柴嵜 そうみたいですね、そこから3年間講師をやらせていただきました。受験前にその学校に通っていた時は、1級の講義に、頭にタオル巻いて大工現場の格好でくるやつがいるぞ、と、まわりからは異質な感じに見られていたでしょうね(笑) 出来る人の隣について、出来る人はどうやっているのかを研究しましたし、現場での実務経験や大学で勉強をしてきた経験もあるので、それで合格できたというのもあるかもしれませんね。設計事務所で学んだことも生きたと思います。

布広 なるほど、それで1発で合格してしまったと。でも、きっかけはお子さんの為でしたね?合格後はどうされたのですか?

柴嵜 そうですね、資格をとったからといって独立する気もありませんでしたし・・・また元いた工務店に戻りました。しかし、周りからは「なぜ戻ってきたのだろう?」というような目で見られ、軋轢が生じ、辞めることになりました。なら1人でやるか、「フリーで大工やります〜!」という感じです。すると、「じゃぁ、よろしく頼むわ~」といって声をかけてくれた工務店さんがあり、そこからの仕事を請け負うことになりました。もともといた工務店の大工も呼び、2人でやることに。そこでS建築を立ち上げて請負大工としてスタートしました。

布広 自然な流れで、所々にきっかけがあり、独立に至ったのですね。柴嵜さんは「軋轢」という言葉をお使いになられましたが、なんで一級の資格持った人がこんなところに?みたいな感じですか?現場には異質な感じがあったのでしょうか?

柴嵜 すごいな!と言って迎え入れてくれる人ももちろんいましたが・・どちらかというと大工じゃなく、帳場(現場管理をする人)でも資格がない人が多いんですよ。そちらがね・・・

布広 なるほど、一級建築士の資格をもった大工、柴嵜さんのことを使いにくくなっちゃったんですね。いやぁ、でもすごいことですね。

柴嵜 設計事務所勤務の時代に、仲良くさせていただいていた方がいて、その方に、建売の計画があるので手伝ってと言われたんですよね。もちろん大工としてのお仕事だと思っていたら、工務店を立ち上げて、仕事を請け負ってほしいとのことでした。そうか、ならつくるかと、工務店をつくることにしました。なので、独立のきっかけは自分でやってやる~というより、周りがきっかけで独立したようなものです。

布広 やっぱり皆さん、柴嵜さんと仕事がしたかったのですね。絶対この人と仕事がしたいと思っていただけていたからこそ、そのようなご要望があったのではないでしょうか?

柴嵜 まぁ、、、多少なりともあるでしょうね(笑) その後、年間3棟ほどの施工に携わらせていただきました。  ある時、妻のママ友が家づくりの相談に来たんですよね。設計はどこがやられるのかなと思っていたら、なんと、「設計からやってくれないか?」と頼まれたんです。あぁ、そうか、自分は設計もできたんだった、と(笑)。そのような感じで2009年、初めての設計施工をやらせていただきました。その家が完成すると、その家をきっかけにいろいろな依頼がくるようになりました。

布広 20~30代の一次取得層の方の感性に合わせてリーズナブルかつ効率よく家を「売る」となると、どうしても多少は、家の図面やデザインなどが「最大公約数」的に収斂されてくる部分があるのは否めません。業界経験の深くない若い人材でも売りやすくするために例えば規格化され、規格化されることで安く提供できるようにもなり…。そういった観点で見ると、柴嵜社長の手掛ける物件は1つとして似たような家がないですよね。外観だけでもモルタル、ガルバリウム、コンクリートに、塗り壁・・空間のご提案、収納やニッチのご提案だとかも様々ですし、設備もお客様のご要望をとりいれてらっしゃるのかな?多種多様ですもんね。

柴嵜 ご要望が特に何もないようでしたらこちらから提案もしますが、基本的にはお客様の入れたいものを入れるようにしています。

布広 完全にオーダーメイドとなると、この辺、手間じゃないんですか?

柴嵜 お客様のご要望をお聞きし、それをS・建築というフィルターを通して提案をしています。良い意味でお客様を裏切る提案もしています。それがS・建築に依頼をするという意味だと思っています。一から要望を組み立てていくことは手間に見えるのかもしれませんが、私にとっては手間ではないんです。

布広 それを実践され続けているのがすごいなぁと。社長にとっては当たり前なのかもしれませんが。

柴嵜 じゃないと純粋に私が会社をやっている意味がなくなってしまいます。効率を求めていたら、もっと効率の良い会社はあるし、もっとローコストに出来るところもありますしね。お客様に寄り添って家づくりをしていくのがS・建築なんです。

布広 言葉にするとどういうのでしょう。こんな家いいな、こんな暮らしいいな、という事って、とても抽象的じゃないですか。形にするのはとても難しそうですが、どうやって汲み取られているのですか?

柴嵜 まずはヒアリング用紙にご要望等を記入していただきます。土地のこと、外観のことなど、そのシートの内容に沿って答えていただければ、私の中でイメージがつくようになっています。それでお客様のライフスタイルを考え、さらに対話をプラスすることでより良いプランに仕上げていきます。

布広 そうとう時間とパワーがかかるのでは?

柴嵜 お客様へのヒアリングは重要な段取りと考えていますので、それが見えない限りは、設計はできません。プランづくりは重要な段取りの部分なので、それが見えない限りは家を作ってはだめだと考えています。建売とは違って、「こういう家に住みたいと思う」のが注文住宅です。どういう形で、どんな生活がしたいか、どんな関わりを家に求めているのか、様々なことを聞き取ってそこでこちらなりの回答を出していきます。図面というものは土地が決まらないと描けないのですが、その土地の関わりや、日の入り、風向きなど、様々な条件を考慮していきます。また例えばリビングに人が集まるような家にしたいというご要望があれば、土地を見て、1階に居間があったほうが良いのか2階にあったほうが良いのかを考えます。土地の周りにある建物との関わりも重要になってきますし、あらゆることを全部融合させて決めていきます。朝、昼、夕と、陽を観察しにも行きますよ。

布広 打ち合わせ期間は、一棟どのくらいになるのでしょうか?

柴嵜 着工までは半年から1年。最大2年打ち合わせした方もいらっしゃいました。弊社にご相談に来られる方はそれだけ想いの強い方が多いですね。想いが強ければ自然と打ち合わせ期間も長くなります。しっかり打ち合わせを重ねるので、弊社はクレームというか手直しがほとんどないですよ。

布広 そうなると年間で対応できる棟数も限られてきてしまいそうですね。

柴嵜 そうなんです。そこが実はちょっと問題だったり・・(笑) わりきる部分はわりきらないとと思っているんですけど・・・でもどうしても割り切れないですね・・

布広 柴嵜さんと出会えて家づくりをする人は幸せですよね。お話を聞いていて、つくづくそう感じます。

柴嵜 そういう風に思っていただけると嬉しいです。例えばこちらのお客様ですが、2年かけて打ち合わせをしたからこそ、逆バンクのあるボルダリングのある家になったんです。もし、1年で打ち合わせを辞めていたら、この発想は出てきていなかったんです。そしてもちろん、1年で辞めていたら後悔があったはずです。

布広 なるほど・・ボルダリングのある家も特徴的ですが、家具なども造作でご提供されているんですか?

柴嵜 ご要望があればもちろん出来ますよ。

布広 設計、大工を経験されているからこそ、その経験がこういったものを具現化できるベースになっていますよね。その結果ですね!「棟数を追いかけないというより・・

柴嵜 追いかけられない・・!」とことんお客様に寄り添って考えていきますね。沢山話してなるべくたくさんのことを引き出す・・家づくりの打ち合わせって、お客様にとっても大変なことなんですよ。普段の仕事をしながら家のことをいろいろ決めていかないといけないですし。しかしそこで頑張れば一生後悔しない家が出来るはずです。1つでも後悔を少なくすること、良かったを増やすこと、それが私の役割です。

布広 このポリシーはもうずっとお持ちなのですか?

柴嵜 はい。S・建築はずっとそういう考えです。

S・建築製作所の今後
地球の環境問題も考慮しながら…

布広 ここまで1棟1棟丁寧に打ち合わせをされているということをお聞きすると、柴嵜さんに今、お客様を紹介しても手がけられるのはずいぶん先になってしまいそうですね(笑) ところで、今後の会社としての将来像を教えていただけますか?例えばZEH目標を掲げていらっしゃいますが。

柴嵜 ZEHはお客さまに押し売りするものではないので、今はお客様に合わせてご提案しています。人口も減っていますし、建てたい人も減っている時代です。札幌で考えると土地はないですし、今後は建て替えやリフォームも視野にいれています。来年リノベーションの計画もありますよ。

布広 新築、リフォーム問わず、お客様と共に考えてつくっていくというスタイルはかわらないんですね。

柴嵜 ローコストでもハイコストでも新築でもリフォームでも、かける情熱は一緒だし労力も一緒です。ご要望があればご要望に応じて対応していくつもりでいます。

布広 柴嵜社長の想いとパワーはいつもどんな時も変わらないと!施主さんからしたら頼もしすぎますよね。職人についてはどうですか?

柴嵜 職人はもう本当に少なくなってきていて、大変な状況です。家を建てたくても建てられない、建てられる人がいない、そんな状況です。うちとしても若手の育成をしていきたいと思っています。うちみたいな特化している会社がもっと発信していかないとという責任も感じていますね・・「こんな家を建ててみたい」と職人を目指してくれる若者が1人でも増えるよう、特徴的な家づくりを続けていきたいです。

布広 業界全体の課題などは?

柴嵜 人材もですが、エネルギーの問題ですかね。弊社設計・施工のモデルハウス「LEAFtoHome北海道」(匠株式会社)があるのですが、そのモデルハウスは、太陽光から直接リーフに充電できることをイメージして作りました。それがようやく実現できそうです。いま家とエネルギーの関係を考えるのにとても良いタイミングなのではないでしょうか。弊社としてはそういった太陽光システムを使いつつ、建築的にもエネルギー消費を抑えられる仕組みをいろいろご提案差し上げたいと考えています。もともと、太陽光発電の、「余ったら売る」という考え方があまり好きではなく、おすすめをしていなかったんですよね。しかし、「余ったら貯める」それが出来るならとても良いと思いまして・・!

布広 地産地消というイメージですか?

柴嵜 そうです!

布広 実は私も地産地消という言葉にこだわりがあって、このインタビューにもサブタイトルとして、「地産地消人を訪ねて」というタイトルを付けているんですよ、実は。だから今、個人的にすごくいい話を聞けたと思いました。今までは余ったら売るという考えでしたが、そうではなく貯めておく事ができ、必要なときに自分で使うことが出来るんですね。そういうニーズのあるお客様はそのモデルハウスを見に行けますか?

柴嵜 えぇ、もちろんです。もうすでに何人もの方に気に入っていただけています。タイアップ企業である日産自動車も気に入ってくれていて、新しい「リーフ」をモデルハウスに入れてくれました。しかしこれはコストがかかる話ですし、興味がある方には・・という感じですね。あとは建材、とくに木材がなくなってきているということが建築者として気にかかっています。反面、家に無垢を使いたい人が多いんですよね。やってあげたいけど・・けど今は地球のことを考えると今は育てる時期だし・・というジレンマもあります。広葉樹、針葉樹、育ちを考え、適材適所、サイクルも考えないと、と思っています。

布広 お客様の住みたい家ばかりだけでなく、地球環境のことまで考えたバランスの良いお家づくりをされていらっしゃるのですね。

柴嵜 これもご興味のある方にはお話しますけれどね。実際なかなかこういった地球環境に関する知識を披露する場はあまりありませんが・・。何事も自分の為じゃなかなかできないけれど、周りにいる誰かのためと思ってこれまでやってきました。もちろん今後もです。

布広 今のスタイルは、社長の性に合っているのでしょうね。とても珍しい経歴をお持ちの柴嵜社長。貴重なお時間をありがとうございました。

柴嵜 ありがとうございました。

対談後記

「実直」という言葉がこれほど似合う人物にはなかなか出会えない。
本当に相手想いで、ご自身が本心から「良い」と実感できないことはお勧めされない(できない?)、そんなお人柄が随所ににじみ出ていらっしゃる柴嵜社長。
その分、「こうした方が良い」と思われたことはお客様(施主様)と丁寧に対話を重ね、形になるまで追い求める「仕事人」としてのスタンスをお持ちの方。
先日(2018年秋)拝見させて頂いたオープンハウス(完成見学会)も、宅地から小川に臨む自然の傾斜地にあえて手を加えず、スキップフロアや収納満載の4LDKを実現した間取の物件でした。リビング窓からは緑満載の山や清流が望め、随所に設けられたニッチ窓からは眼前の原始林を駆け上るリスなど小動物が目に飛び込む。
土地を含めた総施工費は、「今のご時世でこれ!?」と多少なりとも驚きを覚える手頃さでした。何でも、「多くの工務店は手掛けたがらないだろう」傾斜を伴った宅地ゆえ、お買得価格の土地を探し出すことができた事も大きな要因の1つだったようです。

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