独自スキルの言語化〈前〉
以前、興味深いシーンに出会ったことがあります。
業務改善をお手伝いしている会社様で、マーケット調査のDATAを解析していた時です。
ある分野のユーザー嗜好(志向)をトレンドとして順位づけしていたものが、その前年の調査で数年ぶりに入れ替わった結果が出てきていました。
「昨年まで2位だった〇〇がTOPになったという事は、〇〇の人気が上がったというよりも、例年1位だった△△がもはや『当たり前』のものとして見られるようになったので、ユーザーからは強く求められなくなったという事なのでしょうね。つまり△△は、求められる基準値が高くて当たり前になってしまったという事」
「これだけのレベルを提供しているのだから、わが社の△△は凄いでしょ!と謳ったところでもう響かない。高いレベルが提供できて当たり前の時代が来たという事なのでしょうね」
どちらも、同じ某中間管理職様の解析・解釈です。
その通りなのです!
もちろん、順位の裏付けとなる定量DATAを見れば、その「解析」結果は推測できます。
しかしここで重要なのは、ユーザーが求めるマーケットニーズを、1つの結果DATAから「解釈」できている、という事なのです。
この、「解釈」がヨミとなり、見立てとなるから打ち手を考察する事ができ、適切なアクションを選択することができるようになるわけですね。
私はこの時、この場には外部コンサルタントとして参加していました。
ある意味「気づかせ屋」的な立ち位置を求められていたこともあり、私はあえて話の腰を折って、当該中間管理職の某様に問いかけました。
「■■さんは、なぜそのような思考をできるようになられたのですか?」
唐突感も手伝ってか、ご本人はまるで思考がフリーズしたかのような表情で私に目をやり、しばし考え込んでしまいました。
「…そう言えば最近、だれか別の人にも似たような質問をされたんだよなぁ…」